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技術コラム

加工について

コスト削減と価値向上のための手法:Value Analysis (VA) と Value Engineering (VE) とは

マシニングセンタ

現代のビジネス環境では、効率的なコスト管理と価値の最大化が企業の競争力を維持するために不可欠です。今回は、そんな企業のニーズに応えるための強力な手法である「Value Analysis (VA)」と「Value Engineering (VE)」について詳しく解説し、バンテックでのVA提案とVE提案の実施例をご紹介します。

Value Analysis (VA) とは?

Value Analysis (VA) とは、既存の製品やプロセスに対してコスト削減と価値向上を目的とした体系的な分析手法です。1947年にゼネラル・エレクトリック社のローレンス・マイルズが開発しました。VAは、製品やサービスの機能を詳細に分析し、その機能を達成するための最適な方法を見つけることで、コスト削減を図ります。

VAの主なステップ

1.定義: プロジェクトの目標と範囲を明確にします。
2.情報収集: 現在の製品やプロセスに関する詳細な情報を収集します。
3.機能分析: 各部分の機能を明確にし、その重要性を評価します。
4.検討: 複数の代替案を考え出し、検討します。
5.評価: 代替案を評価し、最も効果的な解決策を選定します。
6.実施: 選定した解決策を実行し、その結果をモニタリングします。

VAの重要性

VAにより以下を達成し、製品の価値を高め、市場競争力を維持・向上します。
•コスト削減: 不必要なコストを排除し、効率化を図ります。
•機能向上: 製品やサービスの機能を向上させ、顧客満足度を高めます。

Value Engineering (VE) とは?

Value Engineering (VE) とは、新製品や新しいプロセスの設計段階で適用される手法です。VAと同様にコスト削減と価値向上を目的としています。VEは、設計の初期段階からコストと機能のバランスを最適化することで、製品やプロセスの全体的な効率を向上させます。

VEの主なステップ

1.定義: プロジェクトの目標と範囲を明確にします。
2.情報収集: 必要な情報を収集し、現状の設計を理解します。
3.機能分析: 各部分の機能を明確にし、その重要性を評価します。
4.検討: 複数の代替案を考え出し、検討します。
5.評価: 代替案を評価し、最適な解決策を選定します。
6.実施: 選定した解決策を設計に組み込みます。

VEの重要性

VEにより以下を達成し、製品の市場投入時の競争力を高めることができます。
•設計段階からのコスト削減: 初期設計からコスト効率を考慮し、無駄を排除します。
•価値創造: 新しいアイディアや技術を導入し、製品の顧客提供価値を高めます。

VAとVEの違い

VAとVEは品質を損なうことなく、製品のコストダウンや価値向上を図る考え方ですが、以下の観点で違いがあります。

適用時期

•VA: 既存の製品やプロセスに適用されます。
•VE: 新製品や新しいプロセスの設計段階で適用されます。

アプローチ

•VA: 現状の分析に重きを置き、問題解決のための代替案を模索します。
•VE: 設計の初期段階から最適なソリューションを見つけるために、全体的な設計プロセスを再評価します。

VAとVEのポイント

ここでは、VAとVEで共通するポイントをご紹介します。

•継続的な改善:
VAとVEは一度だけでなく、継続的に実施することで、様々な視点でのアイディアが生まれ、長期的なコスト削減と価値向上を実現します。
•チームアプローチ:
多様な専門知識を持つチームが協力することで、多角的に分析を行い、より効果的な解決策を見つけることができます。
•データの活用:
効果的なVAとVEには、正確なデータに基づいた分析が重要です。加工時間を短縮や、材料の変更でいくらのコストダウンを見込めるか、これまでの経験や最新の取引価格といったデータを活用することで、VAとVEの成果の精度を高めます。

バンテックでの実績

バンテックでは、加工技術者と一緒に、これまでさまざまなVA提案やVE提案を行ってきました。主に試作部品を取り扱うため、VE提案を行う場合が多いですが、量産品に対するVA提案も行います。その事例をいくつかご紹介します。

事例1 材料変更のVA提案やVE提案

当社が取り扱う製品の場合、最も多い提案は材料変更に関するものです。例えば、お客様の指定がステンレスであれば、SUS304よりSUS303のほうが加工しやすく、コストを抑えられるため、耐食性、溶接性に問題がなければSUS303を提案します。量産品か試作品かに関わらず、可能なVA提案やVE提案を行います。

事例2 分割加工化のVE提案

削り量が多い試作部品の場合、一体物では加工に時間がかかってしまうため、部品の分割を提案することがあります。部品を分割して切削加工を行い、ねじ止めすることで最終形状に仕上げることで、一体物よりコストを削減できる場合は、VE提案としてお客様にご提案します。

事例3 図面の変更による、VA提案やVE提案

お客様からいただいた試作部品や量産部品の図面に対して、加工のしやすさを加味し図面の変更を提案します。例えば、マシニングセンタを用いてエンドミル加工するにあたり、角部にRを設ける必要があります。このRが小さい場合は細い刃物を使用しますが、細い刃物は折れやすく切削時の切込み量を少なくする必要があるため、結果として加工時間が長くなります。お客様の部品の使用上、Rを変更しても問題がないことを確認したうえで、VE案としてRを大きくすることを提案し、加工時間の短縮とコスト削減を実現しました。

その他の加工事例についてはこちら「実績紹介」をご覧ください。

まとめ

VAとVEは、企業がコストを削減し、機能を向上させ、価値を最大化するための強力な手法です。既存の製品やプロセスに対するVA、新しい設計段階でのVEを適用することで、企業は効率的で高品質な製品を市場に提供し続けることができます。これにより、持続可能な成長を実現できます。
バンテックは、お客様が求める品質・コストを、VA提案やVE提案を積極的に行い実現してきた豊富な経験・実績があります。また、他社で断られた難加工も弊社で加工できた事例も多数あります。
金属の試作加工や量産加工において、VA提案やVE提案も含め、製品価値向上を実現できるバンテックにぜひご相談ください。

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