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技術コラム

加工について

金属における 3D 加工(3次元加工)とは?

3D加工とは、軸加工の一種です。従来の平面的な加工であるX軸(水平軸)とY軸(垂直軸)に、立体的なZ軸(奥行き軸)を加えた加工方法を指します。X軸、Y軸、Z軸の3軸に、C軸(回転軸)を加えた4軸加工や、さらにA軸(傾斜軸)を加えた5軸加工もあります。CADで3次元モデルデータを作成し、CAMに読み込んで加工データを作り、マシニングセンタ等の3次元加工機を用いて加工します。

3D加工の特徴

3D加工では、斜線や円弧の動作を行うことで、球体などの立体形状を加工することが可能です。外観上必要とされる複雑な形状の加工だけでなく、部品の軽量化のための肉抜きにも利用されます。

3D加工が一般的となったことで、高い精度の加工を早く処理できるようになりました。大量生産品に用いられる金型の製造だけでなく、精密さが求められる医療や自動車向け製品にも3D加工で作られた部品が使用されています。

3D加工以外の加工方法

1軸加工
最もシンプルな加工方法です。Z軸のみを動かすといった加工方法です。具体的には、対象物に穴をあける加工などに用いられます。旋盤やフライス盤などで2軸を固定し、残りの1軸のみを動かして加工する方法なども1軸加工に該当します。

同時2軸加工
Z軸を固定し、X軸とY軸を動かすといった加工方法です。具体的には、真円加工や切削加工などに用いられます。NC旋盤やマシニングセンタなどを使った加工が代表的です。

3D加工

3D加工で使用する機械

マシニングセンタ

マシニングセンタとは、高速で回転させた切削工具を固定したワークに押し当てて加工する加工機です。工具を自動で交換する自動工具交換装置を搭載しています。主に、金属部品の立体加工で使用します。段取り替えの手間を省き、省力化によるコスト削減が可能です。

3軸マシニングセンタや5軸マシニングセンタがあります。
詳しくは、別記事「マシニング加工とは」を参照下さい。

複合加工機

複合加工機とは、フライス削り・旋削・研削などさまざまな加工を1台に集約した加工機です。具体的には、マシニングセンタにNC旋盤機を合わせた機械のことを言います。主に金属部品の立体加工で使用します。省スペース化や段取り替えの削減が可能です。

3次元レーザ加工機

3次元レーザ加工機とは、成型後の板金部品やパイプ材などをレーザで立体加工する加工機です。丸パイプ、角パイプ、異形管、Lアングルなど立体的な形状の場合でも複雑な切断や穴あけ加工が可能です。

3Dモデリングマシン

3Dモデリングマシンとは、切削加工による3次元形状を作る加工機です。ABS・アクリル等の樹脂やアルミ・銅合金など軽金属を加工できます。試作や小ロット生産に向いています。卓上に設置できるモデルがあるなどコンパクトな造りになっています。また、バリ取りや研磨などにも使用できます。

3D加工で用いられるマシニングセンタと複合加工機の違い

マシニングセンタ
マシニングセンタはフライス加工機をベースとしています。切削工具の自動交換機能を有しており、穴あけや平面削りなどの切削加工を1台で行うことができます。

3軸マシニングセンタは、回転などを手動で操作する必要があります。段取り替えの時間やコストでは4軸、5軸に劣ります。一方で、5軸マシニングセンタよりも重量物を扱えるというメリットがあります。

5軸マシニングセンタは、あらかじめ設定しておけば加工面の変更も自動化できます。一方で、プログラミングが複雑になるというデメリットがあります。

複合加工機
複合加工機はNC工作機械をベースとしています。切削工具の自動交換機能を備えている点はマシニングセンタと同様です。複合加工機では、フライス削り・旋削加工・研削加工などさまざまな加工を1台で完結させることができます。

CAD/CAMとは?

CAD(Computer Aided Design)

キャドと読みます。製品の設計や製図をコンピュータ上で行うためのツールのことを指します。直訳すると「コンピュータ支援設計」となります。

CADにより、従来では手描きで行っていた作業をコンピュータ上でできるようになりました。作図時間の短縮や手直しが簡単にできるようになり大幅な作業効率の向上につながっています。
平面上に製図を行う「2次元CAD(2DCAD)」と、縦軸、横軸に加えて高さの加わった空間上に製図を行う「3次元CAD(3DCAD)」の2種類があります。

2次元CADは、手描きの図面作成と同じ要領で製図するので、比較的手軽に図面を描くことができます。
3次元CADは、2次元CADでは難しい複雑な曲面や曲線などを視覚的にわかりやすく表現できるため、複雑形状の製品でも比較的簡単に作図できます。

CAM(Computer Aided Manufacturing)

キャムと読みます。製品の加工を行う際、CADで作成した図面のデータをもとに、工作機械の加工プログラムを作成するツールのことを指します。直訳すると「コンピュータ支援製造」となります。

加工プログラムを加工機に直接手入力することもできますが、CAMを使うことで、早く正確に加工プログラムを作成できます。

CADと同様に、CAMには「2次元CAM(2DCAM )」「3次元CAM (3DCAM)」があります。

金属加工で用いられる工法

マシニングセンタによる切削加工
切削加工とは、刃物で金属を削り、余分な部分を除去して造形する加工方法です。マシニングセンタは、CNC(”Computer Numerical Control”※コンピュータ数値制御)を使用したさまざまな加工や仕上げができることから、汎用性の高い加工方法になります。

汎用旋盤による切削加工
旋盤加工とは、部品を固定して回転させ、バイトと呼ばれる刃物状の工具を当てて削る加工方法です。その中でも、汎用旋盤は作業者がバイトを手動で操作しながら加工する工作機械です。単品加工や手直し加工には向きますが、量産には向きません。

CNC旋盤による切削加工
NC旋盤とは、汎用旋盤にNC(Numerical Control)と呼ばれる数値制御装置が取り付けられた工作機械です。NCをコンピュータ制御したCNC旋盤が現在の主流です。量産には向きますが、NCプログラムの作成に一定の知識が必要で、加工前の段取りにも時間を要します。

3Dプリンタでの積層造形
積層造形とは、3Dデータに基づいて金属粉末などを1層ずつ積み重ねて3次元の形状を作り出す加工方法です。金属加工には金属3Dプリンタを使用します。金属3Dプリンタは、内部に複雑な形の空洞や曲がりくねった構造があるといった切削では難しい形状へ加工する際におすすめです。切削ほどの精度は期待できません。

鋳造
鋳造とは、金属や木材の型に、熱を加えて溶解させた金属を流し込んで成形する加工方法です。使用する鋳型や鋳込み方法などによっては安い費用で行えます。しかし、精度はあまり良くありません。必要に応じて切削での2次加工が求められます。

鍛造
鍛造とは、金属を叩いて目的の形状に成形する加工方法です。圧力を加えることで強度を高めることができます。鋳造よりもコストは高めです。

当社の3D加工について

製品名:パイプ
材質:A5052
加工のポイント:丸物形状が含まれますが、外周部に凸部やリードの溝や文字があるため、マシニングセンタで加工を行いました。
また、通常ネジは旋盤で加工しますが、旋盤で加工できない形状のため、ネジもマシニングセンタで加工しました。
3軸(X,Y,Z)のみでは全ての加工は出来ないため、1軸(C軸)を増やして3D加工をし、完成させました。

その他の加工事例についてはこちら「実績紹介」をご覧ください。

3D加工はバンテックにご相談下さい。

バンテックでは3D加工の豊富な実績が多数あります。
お客様のご要望に応じて、さまざまな3D金属加工が可能です。
また、自社で設計・デザインも行っているため図面のない状態からのご相談も大歓迎です。
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