加工について

追加工におけるポイントと加工事例について

2024.05.06
2024.10.02

追加工（ついかこう）とは、二次加工とも呼ばれますが、既に一定の加工を施された材料や製品に追加で加工を行うことです。お客様のニーズに合わせたカスタマイズを行ったり、製品の品質を改善したりします。
本記事では、追加工の概要から、追加工のポイント、そして当社バンテックの加工事例を紹介いたします。

追加工で扱う材料、製品

追加工ではSUSや真鍮、アルミ、鉄系、樹脂など、さまざまな種類の材料を扱います。エンジンや焼却炉などの高温環境で用いられるインコネルなどの硬い材料では、材料より硬い刃物を用意しなければならないため、追加工は難しくなります。
追加工を行う製品のサイズは加工機械のサイズに依存し、極端に大きい製品は、追加工のため治具を製作する必要があったり、加工機械に入らない等、加工できない場合もあったりします。最終的には、加工機械の性能、および製品と追加工の内容を確認して加工ができるかどうか判断します。

追加工が必要になるケース

追加工が必要なケースは以下のとおりです。

穴やテーパー、ざぐり追加や、ねじ止めのためのタップといった追加加工
組み合わせ後に干渉する部分を削るといった、組み合わせ時の補正加工
より高い精度が必要になった時に行う、精度だし加工
他の加工会社などで加工に失敗した時に行う、直し加工

このように、追加工は、本来必要な仕様や追加の仕様を満たすために行います。

追加工の流れ

追加工を行う際の流れをご紹介します。

お問い合わせ

追加工用の図面を提供いただきお見積もりを行います。図面をお持ちでない場合も、簡単なポンチ絵を使った指示（ここを削ってほしいなど）や口頭での打ち合わせでも対応可能な場合があります。

追加工前の寸法測定

追加工前の状態の製品の寸法を、ノギスや3D測定器、画像寸法測定器を使用して測定します。例えば、より高い精度が必要で追加工を行う場合は、追加工前の時点での精度を測定します。加工前の状態を把握するためにとても重要な工程です。

追加工

仕様に応じて追加工を行います。

検査、納品

最終検査を行い、お客様のご要望に沿う製品になっていることを確認したうえで、納品します。

追加工のポイント

追加工のポイントをご紹介します。

追加工前の寸法精度・状態を予め確認する

追加工前の製品の状況は追加工の難易度に大きく影響するため、事前打ち合わせで製品を見せられる場合は製品を直接確認するようにしましょう。特に追加工前の製品の寸法精度によっても追加工の難易度が大きく変わります。そのため、追加工前の寸法精度が低すぎると、加工が困難な場合もあります。
例えば、製品が反ってざぐり加工に大きなずれが生じ、たとえ追加工を施しても補正できない程度のずれのため、追加工不可となったケースがありました。

事前打ち合わせ時に要求仕様・精度の認識を合わせる

精度出し加工は、求める要求仕様・寸法精度によって、加工の難易度が変わるため、事前打ち合わせ時に要求仕様・精度の認識を合わせるようにしましょう。
特に複雑形状や薄肉加工などの高い要求仕様や公差の厳しさによって、加工の難易度が上がります。追加工する製品の用途によっては、考えていた寸法公差が不要なケースもありますので、依頼主と業者で認識を合わせます。

追加工に掛かる費用について認識を合わせる

打合せ時に追加工に掛かる費用についても確認を行います。特に加工治具が必要になる場合は、追加工のみを行う場合よりも多くの費用が掛かります。
成型品（樹脂）や鋳物などの追加工を行う場合に必要になるのが、加工治具です。精度を出すために、加工時の部品の反りや変形を押さえる加工治具が用いられます。単純な穴あけなどの追加工の工数に加え、加工治具の製作分の費用が上乗せとなるため、加工前に費用についても認識を合わせます。
しかしながら、追加工や加工治具の製作分の費用は掛かりますが、一般的には新規で作るよりも安価なケースが多いです。また、追加工は最小1個から対応可能ですので、まずは追加工で対応できるかどうか検討してみることをお勧めします。

当社の追加工の事例

OA機器メーカーの一次サプライヤーからの案件です。石膏鋳造部品で高い精度が求められる箇所に予め削り代を残した製品に精度出しの追加工の依頼を受けました。
弊社は精度穴の加工とタップ加工、平面度、平行度、直角度等の精度出しの追加工を行いました。製品の全面に加工箇所があるため作業時に製品のある一面を覆って固定することはできず、最初の一面を加工した後にその面を保持するための治具を製作し、残りの5面を加工する方法を取りました。このように複雑な形状でも要求仕様を達成するために、お客様と協議を重ね、職人の工夫により実現できる対応力があります。