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技術コラム

加工について

寸法測定の重要性と活用方法

ノギス

ものづくりの現場では、寸法の測定や検査が欠かせません。部品を正確に測定し、規格に適合している製品だけを選別することで品質を保証します。

この記事では、寸法測定の目的や方法について説明し、具体的な測定器の種類や寸法測定における注意点を解説します。

寸法測定とは

寸法測定は、製造された部品が仕様や図面通りの公差内に収まっているかを確認する工程です。規格から外れた不良品を次工程に送ったり納品したりしないため重要な工程です。

寸法測定の目的

できばえの確認

部品が図面や仕様書通りに仕上がっているかを確認します。寸法測定で不良品と判断した製品は除外し品質を保証します。寸法が規格内に合致している製品を顧客に届けることができます。

品質の維持向上

寸法測定を継続的に行うことで品質を維持することができます。また、寸法測定によって発見された不良品を分析して発生原因を特定し、製造プロセスを改善して品質を向上することもできます。測定値が公差から外れていたり、ばらつきが出ていたりする場合には、製造の工程を見直す必要があります。

寸法測定器の種類、方法

寸法測定器にはさまざまな種類があり、用途に応じて使い分けます。人の手で測定するノギスやマイクロメータ、部品検査だけでなくマイクロメータなどの校正にも使われるブロックゲージ、複雑な形状を高い精度で測定できる三次元測定器や画像寸法測定器などがあります。

また、寸法測定器はアナログ機器とデジタル機器に分類されます。アナログ機器は電池や電源が不要で手軽に測定できますが、ノギスやマイクロメータでは人による目盛りの読み間違いなどが起きる可能性があります。一方、デジタル機器は測定結果を数値表示で直感的に確認できるため読み間違いが起きにくく、高精度な測定が可能ですが、アナログ機器に比べて高価です。機器の故障により使用できなくなる場合もあります。したがって、適切な測定器を選択する際には、測定精度、環境条件、作業効率、コストなどの要因を総合的に考慮する必要があります。

ノギス

一般的な手持ちの寸法測定器であり、直線距離を測定するものです。測定の対象となる部品を挟みこんだり、穴の内径に差し込んだりして測定します。アナログタイプは手軽に精度よく寸法測定ができることから広く用いられていますが、昨今では寸法を数値で表示するデジタルタイプの普及も進んでいます。

マイクロメータ

精密な寸法を測定するための器具です。一般的に、ねじ、ピン、板など小さな部品の寸法測定に使用されます。ノギスよりも高精度の測定が可能です。ノギスと同じようにアナログタイプとデジタルタイプがあります。

ピンゲージ

穴のサイズや深さを測定するための器具です。特定の径のピンが穴に収まるかどうかで穴径を測定します。セラミックや超合金、鋼といった材質が使われており、一定の寸法公差で精密に加工されています。

ブロックゲージ

部品の厚さや高さを正確に測定するための器具です。一定の寸法のブロックを組み合わせて使用します。非常に精密に作られていることから、高い精度で寸法を確認することができます。JIS B 7506 :2004ではブロックゲージをK級、0級、1級、2級の4等級に区分しており、通常、工場現場で用いられている2級では±0.3 µmの精度を持っています。

三次元測定器

部品の三次元的な形状や寸法を測定するための装置です。直線や円・曲線の寸法を正確に測るだけでなく、平面度や平行度などのさまざまな情報も同時に調べることができます。測定のための探針を高速かつ正確に移動させる精密なモーターや、レーザーや光学センサーなどの非接触式測定により、ノギスやマイクロメータでは測定が難しい複雑な形状をすばやく測定することに向いています。

三次元測定機には、測定物をプローブと呼ばれる探針で測定する接触式と、カメラやレーザーなどを使って部品に触れずに測定する非接触式があります。

画像寸法測定器

画像寸法測定器は、画像処理技術により対象物の形状や寸法を測定するための装置です。μm(マイクロメートル)単位で測定できる検査精度を持ちます。接触せずに測定するため部品に傷を付けることなく測定できるため、高価な部品や繊細な製品の測定に適しています。部品の複数個所を一度に測定することも可能です。

寸法測定における注意点

校正・メンテナンス

寸法測定器の正確性を保つためには、寸法測定器の定期的な校正とメンテナンスが必要です。

校正は、標準器を用いて測定機器の精度を確認する作業です。校正の頻度には明確な決まりはありませんが、一般的には、年に一度以上の校正が推奨されています。校正には、メーカーや専門業者による外部校正と、標準器を使った自社での内部校正があります。

メンテナンスでは、清掃・整備・消耗品交換などを行い、機器が持つ性能を維持管理します。埃や汚れが測定器や測定対象物に付着すると、測定結果に誤差が生じる可能性があります。

アナログ機器

ピンゲージやブロックゲージは材質によっては錆びてしまうので、汚れを除去したあとに防錆油などを塗布して保管する必要があります。摩耗や劣化が起きていないか、定期的な校正を行って精度を確認します。

デジタル機器

デジタルノギスを例に挙げて、内部校正の手順を確認します。用意するものは、ノギス本体と、標準器となるブロックゲージやリングゲージです。
①測定器や標準器は温度の影響を受けて伸縮を起こすため、標準温度とされる20度を保った部屋で2時間以上温度慣らしをします。
②ノギスの清掃を行い、汚れなどを除去しておきます。
③ノギス液晶部の割れ、劣化がなく、測定値を正常に読み取れるか確認します。
④測定前にノギスのゼロ点合わせをします。
⑤標準器をノギスで測定し、測定誤差を計測します。
⑥メーカー規格やJISに準拠し合否判定し、必要に応じて修理や調整を行います。
⑦以上を定期的に実施します。

測定環境

寸法測定に影響を与える要因として、温度、湿度、振動などの環境条件に注意する必要があります。

温度と湿度の管理

温度や湿度の変化は、測定器や測定対象物に影響を与える可能性があります。正確な測定を行うためにも温度や湿度を一定に保つことが重要です。

振動

測定対象物が振動すると、正確な測定が困難になります。適切な振動防止装置や安定した作業台を使用します。

まとめ

寸法測定は重要な工程です。加工品の精度を保証するためには適切な測定が必須です。

バンテックでは、ノギス、マイクロメータ、三次元測定器、画像寸法測定器など各種の測定器を取りそろえております。お客様の要望に応じた多様な検査が可能です。

また、バンテックの測定担当者は長年の経験で培った検査技能を有しています。適切な寸法測定器を選択し、校正やメンテナンスを定期的に行い、測定環境にも注意を払って検査を行っています。

詳細な検査体制や保有設備についてはこちらもご参照ください。

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